ほとんどの人が知らないアルファベットの書き順と筆記体に関する衝撃の事実

オックスフォード学院

英語のアルファベットには書き順がある。このように中学で習った人は多いのではないでしょうか。

15年ほど前までは、日本の中学1年生は、アルファベットの書き順を習っていました。これは、文部科学省の方針でした。明治以来、百数十年来、英語の授業の最初に「書き順」を教えられてきました。私も1970年代に書き順を習いました。

たとえばE。横線と縦線を、どんな順番で書くのか。覚えるのはなかなか大変です。Fはどうでしょうか。

英語のアルファベットの「書き順」は、今はどうなっているでしょうか。

同じように、日本の中学の英語の授業で「筆記体」が教えられてきました。これは今、どうなっているでしょうか。

「書き順」「筆記体」。文部科学省が決めた中学の教育内容に100年以上入っていたにもかかわらず、実は今は教えられていません。なぜでしょうか。また、このことから得られる教訓は何でしょうか。

アメリカの高校で気づいたこと

実は、今の日本の中学校の英語の授業から「書き順」は消えました。

私は高校2年生の秋からアメリカの高校に1年間、留学しました。アメリカの中で5本指に入るレベルの進学校です。この高校の先生たちは、大学の先生だった人もおり、多くは修士、博士という学位を持っていました。

この学校で、私は1つのことに気づきました。先生によってアルファベットの「書き順」が違うのです。私は思いました。「なるほど。英語に書き順はないんだ」。そして、私は以後、自分が書きやすいと思う順番で英語を書くようになりました。

10年前、文部科学省に電話で聞いてみた

そして時間が経過して、10年前、私は自宅がある千葉県印西市で英語塾を開きました。そして「アルファベットには、書き順はない。自分が書きやすいと思う順番で書けばいいから」と生徒に話しました。

私の塾は、いつでも保護者が入っていいことになっています。私が「書き順はない」と言った授業が終わった時、あるお母さんが私に質問してきました。「先生、私は10年ほど中学の英語の教師をしていたのですが、書き順はありますよ。教科書にも指導書にも載っています」。

そこで私は、文部科学省に電話をかけ、英語教育課程をつくる担当者につないでもらって、質問しました。「英語のアルファベットに書き順はありますか」。すると担当者は言いました。「数年前までは、中1で教えることになっていたのですが、今は教えていません」。「ということは、英語に書き順はない、ということですよね」。「そうです」。

英語には、やはり「書き順」は無かった。無いのに、有る、として明治以来ずっと日本の中学生は学んできたのです。

なぜ、こんなことになったのでしょうか。「書き順」が日本の中1の教科書に掲載された直接のきっかけについては分かりませんが、容易に想像できるのは、日本には「漢字。ひらがな、かたかなの書き順」があるからです。だから、ある時にだれかが「英語でも書き順を教えなくては」と言い出し、教えることになってしまったのでしょう。

「筆記体」は英米で使われているのか

それでは、筆記体はどうでしょうか。筆記体の書き順はあります。少し崩して、続けてアルファベットを書く「筆記体」は、間違いなくイギリスやアメリカに存在します。

では、実際にイギリス人やアメリカ人は「筆記体」を使っているでしょうか。

私は高校時代にアメリカに1年間、大学時代にイギリスに1年間、社会人になってドイツに2年半、滞在しましたが、筆記体で英語を書くネイティブに1人も会ったことがありません。崩しすぎずに筆記体を書けば、多くのネイティブは読めるでしょうが、日常生活では、ほとんどだれも書きません。

そのような理由で「筆記体」も、日本の中学の英語教育から消えていったのでしょう。

無駄なことを100年以上、教えた国

「書き順」と「筆記体」。どちらも100年以上、日本の中学の教室で教えられ続けました。そして、21世紀になって、少し違った理由で消えていきました。

このことから、教訓が得られると私は考えます。教育の内容・方針について、国は間違う、ということを私たちは分かっておくべきだという教訓です。

音読せず、書き写しもせず、ただ問題を解くだけの英語教育。中学では「ワーク」という問題集が与えられ、この「ワーク」を解いていれば、先生はそれ以上は求めません。高校になっても状況は同じで、問題集も何冊も渡され、その問題集を解くことが英語の学習である、と教えられます。

この英語学習法は、間違っています。音読をして短文・長文を覚えないと、英語の4技能はどれも上達しません。

また、4年前から始まった小学校5・6年の英語は、2年間で英検5級レベルの勉強をすることになっていますが、学校の授業で5・6年生の間に5級の力がつく生徒はほぼ、いません。英語を教えられる先生が小学校にはほとんどいないからです。

国は間違う。このことを分かったうえで、国が言うことの何が正しく、何が間違っているのかを自分で判断していかないと、とんでもないことになってしまいます。

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