絶対に購入して、学習した方がいい本。間違いなく、10年に1冊の本が、2025年4月に発売されました。TOEIC指導の、そして日本の英語教育の第一人者、花田徹也先生が、文法力・単語力がつく1000問について、70時間教えてくれる動画授業もついて、3080円です。
『TOEIC L&Rテスト文法・語彙・語法 あがる1000問』(花田徹也著、ヒロ前田編、アルク)。この、長いタイトルがついた本は、もちろんTOEICのリスニング・リーディングの対策本です。TOEICに出てくる文法と単語は、これ1冊で大丈夫。しかし、この本をマスターすれば、TOEICだけではなく、中級から上級の英語全般に通用する単語力・文法力が身に付く本になっています。
著者がすごい、というのが、この本が質の高い本になっている理由です。この本を書いた花田徹也先生は、TOEICの世界でナンバーワンの先生であり、また、その英語についての知識、説明の分かりやすさでは、今の日本で英語を教えている先生全体の中でも、1位、2位を争うレベルです。
このチャンネルですでに数回紹介している竹岡広信先生は、大学受験英語の世界ではナンバーワンの先生ですが、英語全般、という範囲で考えると、ナンバーワンは、竹岡先生または花田先生が同率1位、と私は考えています。私は、この2人の授業を数十時間ずつ受講したことがありますが、この2人は、日本に数多くいる英語の先生たちの中で、突出した2人です。
著者、花田徹也先生とは一体だれ?
花田先生は、高校卒業後に南カリフォルニア大学(USC)に留学して卒業し、三菱商事に入社。数年後にTOEICの講師になりました。
私は、20代のころの花田先生を知っています。当時、司法試験予備校の伊藤塾で、英語・小論文・時事問題を教えつつ法科大学院コースの開設を準備していた私は、TOEICのプロを探していました。私自身が教えることもできたのですが、私はTOEIC専門ではなかったので、専門の先生を外部から招いた方がいい、と考えたのです。どんな先生がいるのかを調べたところ、まだ20代でしたが、花田先生がベスト、という結論に達しました。
当時、先生が籍を置いていた池袋のエッセンス・イングリッシュ・スクールと交渉し、花田先生を伊藤塾に派遣してもらうことになりました。この時、先生の伊藤塾での授業に私も出席しました。
その後、花田先生は独立し、TOIEC特化型スクール「花田塾」を設立して現在に至っています。
私がお付き合いしていたころの花田先生は「若い、イケメン、英語の発音が抜群にいい先生」という印象でしたが、今ではすっかり貫禄がつき、TOEIC業界のナンバーワン講師になりました。
70時間の授業、1時間あたり44円!
『あがる1000問』の特徴は第1に、花田先生の授業が70時間ついている、ということです。動画をダウンロードすれば、掲載されている1000問について、すべて花田先生の解説授業を受講することができるのです。
70時間で3080円なので、1時間あたり44円。(1問あたり3円です)。新宿にある花田塾に行って授業を受けるといくらするか、検索してみると、1時間あたり2200円を超えるので、1時間あたりの授業料、という考え方をしてみると、この本を購入して動画授業を受けると、ライブの授業のたった2パーセントの授業料ということになります。
70時間の授業に加えて、1000問と解答・解説、そして単語集が収録された本も当然、手に入ることを考えると、お得感はさらに高まります。
本を持ち歩かずスマホ受講もできる!
『あがる1000問』とスマホがあれば、電車の中でも、仕事・授業の合間の時間、昼休みの時間に勉強できます。1日に10問やる、とすると、100日、3カ月半で1周できることになります。
1000問もある問題集は、途中で挫折して中断してしまうことになりがちですが、『あがる1000問』の場合はアプリ、動画があるため、挫折しそうになっても、背中を押してもらえます。
さらに、1000問の問題はすべてスマホで見られるようになっているために、荷物が多くて700ページある本を持ち歩きたくない時には、本を家に置いていっても大丈夫。スマホだけでも学習することができます。
TOEIC本?イエス and ノー
『あがる1000問』はTOEIC対策本です。これは間違いありません。では、英検・受験英語・会話などに関心がある英語学習者には適していないのでしょうか。そんなことはありません。
このことは、収録されている1000問のうち、2、3問を見れば分かります。もちろん、TOEICに頻出のビジネス単語も出てきますが、それだけではありません。通常の英語、つまり、英検、受験英語、英会話にも必要な単語、英文法が網羅的に学習することができます。以下、3問について、具体的に見てみましょう。
1000位(最も易しい問題群。正答率92.94%)
A deposit in the _______ of $2000 must be transferred to the designated bank account no later than July 31.
- weight (B)method (C)effect (D)amount
800位(2番目に易しい問題群。正答率82.00%)
Eligibility for the contest, which will end on March 30, is restricted to individuals _______ are age 18 and over.
(A)they (B)when (C)those (D)who
600位(3番目に易しい問題群。正答率73.71%)
The governor announced a new loan assistance program, which he _______ will help low-income youth attend college.
(A)hopes (B)hopeful (C)to hope (D)hoping
まず、1000位(正答率が最も低い問題が1位。1000位は正答率が最も高い問題)。問題として聞かれている空欄の正解は(D)のamount。これは、動画授業でも花田先生が解説しているように、2000ドルが「量」なので、amountが正解。amountの他にも、deposit、transfer、designated、no later thanは、大学受験や英検準1級でも必須の英単語であり、TOEIC対策固有の英単語ではありません。この1000位の問題を解いて解説を聞くと、中上級の英語の単熟語、4つを学習することができます。
次に800位。まず、冒頭のeligibility。この場合は、大会に参加する資格、という意味です。これもTOEICのビジネス単語、というわけではありません。この問題は、中上級の単語はeligibilityだけですが、文法が問われています。関係代名詞whoの制限用法に日ごろから数多く触れているかが問われています。この文法は、英検でいえば準2級レベルです。
最後に600位。governor、announce、assistance、loan、program(政策、という意味の)、low-income。これらの単語は、すべて2級レベルで中級英単語。難しいのは単語ではなく、文法。まずhe hopesを()に入れて、無視して読む、ということができるかどうか。また、「help + 人 + 動詞の原形」(人が~するのを助ける)という構文を知っているかどうか、が問われています。
この本は、レベル別に200問ずつが章に分かれています。一番易しい章、2番目に易しい章、3番目に易しい章のそれぞれの冒頭の問題、1000位、800位、600位の問題は、いずれもTOEIC固有のビジネス単語の知識を解いている問題ではありません。中上級の英語を学ぶ人は、だれでも知っていることが求められる単語・文法・語法を問うている問題ばかりが『あがる1000問』には収録されています。
400位、200位の問題を見ても、同じことが言えます。TOEIC以外に関心がある中上級の英語学習者に必須の文法、単熟語、語法がちりばめられています。
随所に見られる著者の「こだわり」
以上を読んでいただけたら、この本が中上級英語を学ぶ人すべてにとっての必読書である、ということが分かっていただけると思います。
最後に、さらに2つ、この本の「こだわり」について書きます。
第1に、収録されている1000問はすべて花田先生の作問である、ということです。TOEICやTOEFLは、著作権管理が厳しく、過去問が公開されていません。そこで、花田先生は自分でTOEICを受け続けて傾向を研究し、TOEIC対策の問題を自分で作問しています。今回の1000問は、すべて本人が20年以上かけて作ってきた問題です。
第2に、1000問すべてについて、正答率が掲載されています。これは、花田先生が作問した1000問について、5000人以上のTOEIC受験者の協力を得て割り出した正答率です。解答・解説の正答率を参照しながら学習すると、自分の間違いが、どれくらい「許されない間違い」なのかが分かります。
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