英検1級は、普通に英語を勉強していると、まず合格は難しい試験です。 準2級なら、中学の勉強、そして高校受験の準備をハイレベルでやっていれば合格できます。準1級は、難関大学合格レベルの勉強を続ければ合格します。
しかし、1級は年間で3000人を超える程度の合格者しか出ない試験。旧帝大・一橋・東京科学大の合格者、国公立医学部の合格者、早慶上智の合格者を足すと5万人程度になることを考えると、1級がいかに難しい試験なのかが分かります。 そこで、私の塾、オックスフォード学院の1級クラスの単語テスト、英作文テストは、準1級までとは異なるテストをしています。今回の動画では、1級クラスの冒頭でやっている内容を紹介します。
オックスフォード学院で出す宿題
私の塾、オックスフォード学院では、準2級クラス、2級クラス、準1級クラスでは『単熟語EX』(ジャパンタイムズ)から毎回、75単語の範囲を決めて、単語テストを実施しています。
さらに、これらのクラスでは、この75の単語について、EXの各単語について右側のページに掲載されている例文を覚えてくることも宿題で、その75の例文の中から3つについて、私がホワイトボードに日本語を書いて、それを英訳してもらいます。この英訳のテストのことを、授業の中では「英作文テスト」と呼んでいます。
英作文テストを始めた理由
例文を75覚える、という宿題は、かなりの負担です。この宿題は、ちょうど今(2025年5月)から1年前に始めましたが、今でも半分くらいの生徒たちは、3問の英作文テストの準備をせずに教室に来て、英作文については零点に近い点数を取ります。
このように負担が大きい英作文テストをなぜ実施しているのでしょうか。それは、例文を覚える、という作業をしないと、英語を書いたり話したりすることができるようにならないからです。
英作文の名著をいくつも執筆している駿台の竹岡広信先生は、Youtubeの赤本チャンネルの動画の中で「単語帳を見て、ただ暗記しただけの単語は、ほとんど英作文では使えない」と断言しています。単語帳の左のページを繰り返し見て、丸暗記しただけでは、その単語の微妙なニュアンスやコロケーション(他の単語との組み合わせ)を覚えることができず、書く時に自信を持って使うことができない、さらに間違った使い方をしてしまうのです。

単語テストの直前、生徒がやっていること
今から1年前。準2級クラスの授業が始まる5分ほど前。つまり、単語テストの直前、私は、ふと生徒たちの方を見ました。すると、あることに気づいたのです。生徒たちは、準2級の単熟語EXの左側のページだけを見ていたのです。
私の塾では、それまでは、単語テストは、授業の最初に範囲の75の英単語の中から10単語を私がホワイトボードに書き、生徒はそれを日本語に訳してノートに書く、というテストでした。私はいつも「必ず、右側のページに載っている例文を音読するように」と言っていたのですが、テストでは単語の訳だけしか出題されないので、生徒たちはテストの直前、例文が載っている右側のページはまったく見ることなく、左側の英単語と単語の日本語訳だけを見ていたのです。
抜き打ちで英作文テストを実施
その様子を見て、私は「家でも、生徒たちは例文をまったく勉強していないのではないか」と思い、その日、10問の単語テストに加えて、いきなり3問の英作文テストをやってみました。もし、生徒たちが範囲の75単語の例文音読を前回の授業から1週間、一定程度やっているなら、3問~2問くらいは正解できる生徒がいるのではないか、と思いました。
ところが、10人いた生徒は、全員英作文テストはゼロ点でした。つまり、全員が右ページの例文を無視した単語帳の学習をしていたのです。私の心配は的中しました。なるほど。だから生徒たちはライティングとスピーキングが苦手なのです。
その時、私は準2級以上のクラスで毎週3問の英作文テストを実施することに決めて、現在に至っています。
1級クラスをどうするか
ただ、1級クラスが問題です。1級クラスでは、単語テストの範囲は75単語ではなく120単語です。1級クラスで75単語を範囲にしていたら、なかなか単熟語EXを1周することができないからです。
120単語の例文、120例文をすべて暗記してくることを宿題にするべきか。もちろん、それが可能であれば実施することが理想ですが、さすがに負担が大きすぎます。
そこで、1級クラスだけは、英作文テストは別の本で実施することにしました。竹岡広信先生の『よくばり英作文』(駿台文庫)から、毎回16の例文を覚えてくることを宿題にすることにしました。準1級クラスまでの75例文の宿題と比べると16例文というのは少ないですが、そのかわり1級レベルの難しい単語120を覚えてくることも宿題なので、宿題が簡単になっているというわけではありません。
今では、このような宿題を各クラスで出しており、宿題をしっかりやってくる生徒たちは確実に英検に合格しています。
コメント